日本オリーブ(解雇仮処分)事件


日本オリーブ(解雇仮処分)事件
名古屋地方裁判所決定 平成15年2月5日

(1) 事件の概要 (1)本件は,債務者会社Yに解雇された債権者Xが,本件解雇は,YがXをY企業から排除する意図に基づき,Yの新人事管理基本制度およびこれに伴う賃金制度の導入に対するXの不同意や,Xが提起した,賃金の一方的な減額にかかる未払賃金の支払いを求める本訴の提起(本件の本案訴訟)に対する報復としてなされたものであり,解雇権を濫用した無効の解雇であるとして,労働契約上の権利を有することの地位保全および賃金の仮払いを求めた事件である。
 (2)Yは,化粧品や医薬品,医薬部外品等の製造・販売などを業とする会社であり,Xはその営業担当従業員で,全労連・全国一般労組愛知地本あいち支部(以下,「組合」)の組合員である。
 Yでは,平成11年の5月期には,売上高が前期より9%減少するなど,業績の落ち込みが続き,経営基盤をさらに強化するために,営業部を再編成し,その一環として札幌,東京,中部,北京などの各営業所の廃止など組織改革に着手するとともに,賃金額の大幅な変動を伴う新人事管理基本制度およびこれに伴う賃金制度を導入することにし,平成11年11月の管理職対象の説明会を皮切りに前後7回にわたって,管理職をはじめ全従業員への説明会を開催して,12年5月1日,全従業員に,同年6月1日より新制度を導入する旨を通告した。また同時に,新制度導入時において現行給与との差額が出た場合の措置をも通告した。
 この新制度は,従業員をコース別に処遇するものであり,同制度に伴う賃金制度は,これまでの基本給と諸手当からなる賃金制度を全面的に解消した,職群,グレードに基づく役割給と業績給および諸手当からなるものであるが,役割給を低額に抑えたうえで,グレード別に上限と下限の幅のある業績給を加算するという賃金制度であり,新制度と密接な関連を有するものである。
 Xは,この制度の導入に先立って行われた12年5月2日および15日の説明会席上において,この制度導入に不同意の意思を明らかにし,XおよびXが所属する組合も同年7月24日付の書面をもって,Xの労働条件の大幅な変更になる新制度などの導入・実施につき,Xへの適用に不同意である旨を通告していた。
 Yは,13年7月支給分以降の賃金より,Xの月額42万9600円の賃金を37万5800円に減じて支給するようになった。そこでXは同年8月23日,名古屋地裁に,Yを被告として未払賃金などの支払いを求める訴えを起した(未払本訴の提起)。
 なおYは,本件の新制度にかかる就業規則については,所要の改正を行ったあと,その内容の説明を13年12月から全従業員に対して行い,翌14年1月下旬に所轄の労基署長に届け出ている。
 (3)Xは,14年6月3日,組合の分会長や書記長らの出席の下で開かれた,Xの売上高およびYの営業方針等をテーマとする団体交渉の終了間際に,Yより同年7月3日付をもって解雇する旨の解雇予告を受けた。解雇理由は,就業規則9条,11条,12条の各号に定める事項のほか,(イ)19条2号の「勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき」(勤務成績不良),(ロ)同条3号の「やむを得ない業務上の都合によるとき」,および(ハ)4号の「その他やむを得ない事由があるとき」(服務規律違反)に該当するというものであった。
(2) 判断のポイント 本決定は,まず解雇事由(イ)の,「勤務成績が不良で,勤務に適さない」について,Yは12年7月10日のXとの団体交渉において,月額400万円の売上げと新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたと主張するが,提示された疎明資料からは「月額400万円の売上目標が設定された事実を一応認めることは困難であり」,「新規開拓店の売上高から,Xの勤務成績が解雇事由に相当するほどの著しい成績不良に該当すると一応認めることは困難である」とし,営業部長や営業課長の指示・伝達を守り,営業成績をあげる努力を怠ったという主張については,営業会議をしないで具体的な計画案を作成することは不可能であり,Xはそれまでにも,「会議を開催するなどして,営業戦略,営業計画の方向性を明らかにする必要があると述べていたが,Yがこれにこたえようとしなかったことから,Xにおいてその実行ができなかったものと認められる」などとして,Xが「上司の指示・伝達を守り営業成績を上げる努力を怠ったものということは困難であり,この点でXに解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である」とした。

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