高島屋工作所事件


高島屋工作所事件

大阪地方裁判所判決 平成11年1月29日

労働判例765号68頁

(1) 本件は、家具の製造販売およびインテリアの設計施工等の事業を営む被告会社に昭和四八年一一月一日雇用され、家具販売事業部大阪販売部統括課に勤務していた従業員である原告に対して、平成七年四月一一日付けで行われた、労働協約ならびに就業規則上の「技量又は能率が著しく低劣であって職務に適せず配置転換も不可能で就業の見込みがないと認めたとき」ならびに「やむを得ない会社の業務上の都合」を理由としてなされた解雇をめぐって争われたものである。
(2) 被告会社が解雇理由として主張した点は、(1)原告の遅刻回数や私用外出が被告会社の他の労働者に比べて際立って多いこと、(2)遅刻や私用外出に関する上司の指示に従わなかったこと、(3)勤務態度において上司の業務命令にしばしば従わず、同僚との問でも口論が絶えなかったこと、(4)原告は、原告に対する本社企画部(大阪)から東京事業所横浜工場への配転の無効を争う等、これまで九回の訴訟を提起したほか、平成二年以降一五回の苦情処理機関等に対する苦情の申立てを行っており、これらは独自の価値観に基づく信念を貫徹するもので権利の濫用であり、これらの準備作業の多くを就業時間内に行っていること、(5)原告の勤務成績が著しく悪いこと、(6)業績悪化により家具販売事業部の整理再編の実施計画を策定し、大阪販売部の従業員のうち事務職種以外の部門については、全員移管先部門に配転または出向させることとしたが、原告の所属する事務部門である統括課の四名については余剰人員となったため、組合と協議のうえ、配転について検討したところ、原告を除く三名については配転できることとなったが、原告については、上司や同僚と終始卜ラブルを引き起こしていることを理由に、いずれの部門からも受入れに難色を示されたため、配転を断念し、原告に対しては退職勧奨をし、応じなければ解雇する旨組合に対して説明をして同意が得られたこと、等である。
(3) 本判決は、(1)、(2)に関して、誠実に業務を遂行しようとする意欲が著しく欠けているとし、(3)に関して、上司の指揮命令に従って業務を遂行しようとする意識ないし同僚と協調して職務を遂行しようとする意識に著しく欠けているとし、(4)に関して、企業の従業員として非難されるべきでないものも少なくないが、いささか限度を超えたものといわざるを得ず、自らの価値基準のみに従い、協調性の欠如を示すものということができるとしたうえ、以上を総合すると、原告は、上司の指揮命令に従って誠実に業務を遂行しようとする意識ないし同僚との協調性を欠いており、職業人ないし組織人としての自覚に著しく欠けることを示すものであり、このような状況に鑑みれば、(6)の本件余剰人員に対する原告の配転が困難となったことは首肯できるとし、(5)の勤務成績が著しく低いことと併せて、本件解雇は合理的なもので、著しく社会的相当性を欠き解雇権を濫用するものであるとはいえないというべきであると判断した。

 

 

カテゴリー: 勤怠不良   パーマリンク

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