坂元学園事件


坂元学園事件

私立大学講師が高校教諭の職歴等を履歴書に記載しなかったことを理由とする懲戒解雇につき、右経歴詐称は懲戒解雇事由に該らないとされた事例。
 私立大学講師が採用後研究論文を発表しないことを理由とする懲戒解雇につき、いまだ適格性に欠けるとはいえず、懲戒解雇事由に該らないとされた事例。

鹿児島地方裁判所判決

1973年5月14日

時報715号106頁

〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-経歴詐称〕
 (イ) 学校在学中に休学期間があるということは、通常その理由が健康、性行等の評価上重要な意味をもつことがあるにしても、直接学業成績を左右するものではないし、休学期間中といえども、当該学校の学生の身分を失うわけではなく、履歴書の在学期間の表示が、当然にその期間中学術の研究に専念したことを意味するものでもないから、申請人が前記の大学院休学の事実を本件履歴書に記載しなかったことをもって、申請人が学歴を詐称したということはできない。
 (ロ) 前記認定事実によると、申請人がA大学から非常勤講師料名義の報酬を受けて従事した職が学校教育法第五八条にいう大学の講師ではなかったというべきであるが、被申請人代表者は採用のための面接の際の申請人の説明によって、申請人がA大学において従事した職務の内容を知ったものということができ、かつ本件履歴書の右の点の職名、勤務期間の記載はいずれも正確ではないけれども、全くの虚構とはいえず、これをもって法律上解雇理由となり得る程の職歴詐称とはいえないものというべきである。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務能力〕
 (ハ) 申請人が被申請人に採用されてから本件解雇時までに、被申請人に研究論文を提出していないことは、申請人が明らかに争わないから、これを自白したものとみなされる。しかしながら、申請人が採用されてから本件解雇までは、一一箇月足らずに過ぎないこと、B大学の教職員に採用された者がすべて、採用後一年足らずの間に研究論文を提出しているということをうかがうに足りる疎明資料はないこと、および大学教員の専攻学術に関する研究論文という名に値するものの作成にはその内容となる研究の期間を含めて、相当の長期間を要すると考えられることからすれば、申請人が本件解雇時までに研究論文を提出しなかったということのみで、申請人が大学講師としての適格性を欠いているものと断定することは早計に過ぎるものといわざるを得ない。

カテゴリー: 未分類   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>