西日本アルミニウム工業事件


西日本アルミニウム工業事件

大学卒であるのに高校卒と詐称していたことを理由として、就業規則に基づき懲戒解雇された組立工員が、従業員としての地位保全の仮処分を申請した事例。(申請認容)

長さ章地方裁判所決定

1975年7月11日決定

使用者の懲戒権の行使の法的根拠は、就業規則を媒介とした労使間の合意にもとづくものとしても(本件においては、債権者と債務会社との間に、就業規則について暗黙の合意があった、と疎明により認められるところである。)、懲戒権は、そもそも企業の従業員に対する、企業秩序を乱したり、企業の生産性への阻害を原因として、これを理由としてのみ課すことができるものとして許容されるものである本質に変りはない。それ故、右懲戒権の発動は、労働契約によって労働関係が成立した後の労働者に対する債務履行の容態によるものであり、右契約締結の際にかかわる問題ではないのである。
 したがって、経歴詐称を理由とする懲戒権の発動も、労働契約締結時における信義則違反行為をもって、その対象となしえるのではなく、労働者が詐称行為により企業の賃金、職種、地位その他の労働条件の体系を乱し、企業の完全な運行を阻害するなど企業秩序に対し、具体的な損害ないし侵害を及ぼした場合において、初めて対象となるものであると解するのが相当であり、本件における債務者の就業規則二〇条四号及び一一号も、この限度において法的に許容されるものと解すべきである。
 (中 略)
 右認定事実から見ると、債権者が本件経歴詐称によって、債務会社に対し、懲戒権発動の対象となる具体的な企業秩序違反の結果を生ぜしめたとまで、いまだ認めることができない。
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