帝国人造絹糸事件


帝国人造絹糸事件

刑事犯についての経歴詐称を理由とする懲戒解雇につき、被解雇者による仮処分抗告が棄却された事例。

広島高等裁判所決定

1954年4月27日

然れども本件解雇が経歴詐称を決定的要因としこれに対する就業規則の正当な適用によってなされた処分であることは当裁判所も亦全疎明により原審と同様に考えるので原決定理由中の説示をここに引用する。尤も右説示中就業規則第九十九条但書の解釈として情状において軽減することを相当と認めるか否かの判断権は会社側の主観に白紙的に委託されているとなす点は少しく言い過ぎであってやはり所論のように客観的妥当性を必要とし情状酌量すべきものがあれば会社側としては軽い処分に付すべき拘束を受けるものと解するのが相当で、右に違背して全く会社側の恣意主観的感情によって軽い情状を無視して懲戒解雇の挙にでることは解雇権の濫用として違法性を帯びること明かである。尚抗告人は相手方会社が抗告人の前歴詐称を不当労働行為陰蔽の口実とした旨主張するがこれも前段説示のように会社が抗告人の前歴詐称を発見した道程において多少不当労働行為的疑がないわけではないが本件解雇の決定的要因が抗告人の前歴中岡山刑務所に窃盗罪等により一年間服役した事実を秘した点であり、右は懲戒解雇の要件に該当していることが明かであり又これに対して就業規則第九十九条第一号を適用し同条但書の情状による軽減をしなかったことが客観的妥当性を欠くものとは認められず、依て特に不当であり苛酷であるとは到底認められないから何れにせよ本件解雇を無効ならしめるものではない。

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