科研化学事件


科研化学事件

東京地裁決定 1955年10月15日

労働民例集6巻6号1037頁/時報68号22頁/労経速報192号2頁

〔解雇―整理解雇―整理解雇の要件〕
 従業員の責に帰すべからざる事由によって会社が経営困難に陥った場合には企業の整備計画に基いて余剰の従業員を解雇することが許されないとする法律上の根拠はなく、またその経営困難になったことが申請人らの主張するような経営者の怠慢等その責に帰すべきものであったとしても右の結論に変りはないといわなければならない。蓋し企業の整備計画は元来経営者の専行するところであって、その計画樹立に至る動機原因の如何によって左右されるものではないのであるが、その整備計画に基く人員整理即ち解雇が信義に反し又は解雇の濫用となる場合はその解雇は無効であること勿論である。しかして専ら従業員に損害を与える目的で人員整理に名を藉り解雇する場合とか整理以外の方法によって経営困難を打開できる方策があって人員整理の必要が存在しないのに拘らず、これがあると称してなす解雇は一般に解雇権の濫用に該当するものとしてその解雇は無効であるということができよう。しかしながら本件の解雇が右のような事情によってなされたものと認むべき疏明はなく、寧ろ前段に説示した事実によればこのような濫用に当らないものというほかはない。したがって人員整理を余儀なからしめた原因である経営困難が経営者の経営方針の誤謬又は経営能力或は経営努力の不充分によって招来されたとしてもその一事によってその整理に基く解雇が直ちに解雇権の濫用として無効ということはできない。
 〔解雇―整理解雇―整理解雇基準〕
 使用者が人員整理にあたり協約により整理基準を決定した場合は勿論、従業員に対してその基準を定めて発表した場合には整理に基く解雇権をその基準該当者に限る旨限定したものでありまた右の整理基準はひとり使用者側の主観的解釈にのみ委ねらるべきものではなくて協約によって定められた時は当事者の意思を探究して解釈されなければならないことは勿論であり、そうでなく一方的に基準の認定された場合でも基準の趣旨と基準に該当するかどうかは客観的合理的に解釈決定されなければならない。

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