メディア・テクニカル事件


メディア・テクニカル事件
東京地方裁判所判決 平成7年7月7日
労働判例677号12頁

本件の争点は二つある。まず第一は、原告がAVレンタル業務を担当していた際、係長の肩書を付けて営業に移すよう求める書面を従業員に回覧したうえ上司に提出したこと、ホテルに設営してある機器撤去のための出張を拒否し、始末書の提出も拒否したこと、AVレンタル課員全員の非難により、原告が映像機器のレンタルを求める新規顧客の開拓・獲得及び機器修理の保険処理を行う営業職に配転された後、約二〇件の保険処理を滞貨させて会社に約五〇万円の損害を与え、また、機器使用日数の見積りを誤ったこと、都合五回(計六日)に渡って会社を無断欠勤または虚偽の理由により欠勤し、上司からの理由説明の求めに対しても一切明快な説明をしなかったこと等を理由として諭旨解雇の通告を受けたが、これに応じなかったために解雇されたことにつき、その効力が問題となった。しかし、判旨は、原告の主張供述が変遷しているうえ、その内容が曖昧で、にわかに信用できないとしてこれを斥け、原告の右一連の行為は就業規則に定める解雇事由(「業務能力又は勤務成績が著しく劣り、従業員として不適格と認められるとき」)に該当するものであり、本件事実経過の下では解雇権の濫用にはあたらないとしている。
第二の争点は、諭旨解雇の通告をめぐって、会社の会議室で交渉中にやり合いとなり、三名の会社役員から原告が暴行を受け、左肋軟骨骨折の傷害を負ったとして、同人らおよび会社に対する慰謝料の支払いを求めたことにつき、右事実の存在が認められるか否かというものであった。判旨は、原告が左肋軟骨骨折により一〇日間の安静加療を要するとの診断を受けたこと、原告が役員の一人を直接の加害者として警察に告訴したという事実を認めたが、右事実以上に同人が原告に傷害を与えたことを伺わせる事情は認められず、また、原告が傷害を受けたと仮定しても、興奮状態にあった本件事実関係の下では、役員らの違法な所為にもとづくものであるとは断じえないと述べて、原告の主張を斥けている。
このように本件では、原告のいずれの主張も、もっぱら事実認定のレベルで斥けられ、結果的に会社側の主張が認容されるという結果に終わっているが、とりわけ第二の争点については、原告側の主張立証上の問題性を強く意識させるものといわざるをえない。

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